最近肛門が痛むのですがどんな病気が考えられますか。
出血と痛みは、肛門疾患の主症状です。肛門の痛みが突然起こり、しかも肛門が腫れてきたという場合には、3つのケースがあります。血栓性痔核か嵌頓痔核、または肛門周囲膿瘍です。血栓性痔核は、腹圧をかけた時、いきんで便を出した時など、肛門部に小豆大の丸い硬結が急に出来て腫れて痛むもので、正体は血管が切れてできた血豆です。嵌頓痔核は排便時に脱出するような内痔核があった場合、排便時に強くいきむか、強い腹圧をかけた結果、内痔が脱出したまま元に戻らなくなった状態です。これも中身は、血栓とむくみですが、疼痛によって肛門括約筋が痙攣して、腫れや痛みがますます強くなります。これら2つは静かに横になって、温かくしたタオルを肛門に当てたり、静かに入浴すれば楽になります。しかし、痛みが取れなければ専門医に相談する必要があります。
肛門周囲膿瘍は、肛門の周りに膿がたまった状態でズキズキと痛みます。時には発熱があり、深い場合は非常な鈍痛があります。この状態はすぐに切って膿を出さないといけません。ただし切開も、後の痔瘻手術を考えて適切に行われなければいけません。また、腫れはないが、出血や痛硬血を伴う肛門痛については、まず切れ痔(裂肛)が考えられます。裂肛も慢性に経過していきますと、肛門が狭くなったり、肛門ポリープなどの付属物ができて、排便時の痛みがどんどん強くなり、それに伴って排便障害(便秘)も強くなって悪循環を繰り返します。硬血のある肛門痛では、肛門がんも忘れてはいけません。初期の肛門がんは、よく痔といわれて放置されていることが多いのです。さらに出血も硬血もなく、肛門の痛みだけを訴える一群の疾患もあります。尾骨痛、直腸痛あるいは恥骨直腸筋症候群などと呼ばれることがあります。これらの中には原因がわからない例も多く、これといった治療法の決め手のない場合もあるので、専門医に相談するとよいでしょう。