ピロリ菌について知りたいのですが・・・
|
|
ピロリ菌とは、胃の中に感染し、慢性胃炎、胃潰瘍、胃がんなどの原因になると考えられている菌のことです。ピロリ菌の陽性率は、胃潰瘍で7割、十二指腸潰瘍では9割もあると報告されています。長年、胃酸のような強い酸の中には細菌は生息しないと考えられていましたが、オーストラリアの研究者が慢性胃炎の人の胃の中から、細菌の培養に成功し、後にヘリコバクター・ピロリと名付けられました。ピロリ菌は胃の粘膜を覆っている粘膜層内にもぐりこみ増殖し、毒素を分泌することで胃粘膜に炎症を起こしたり、ひどいときには潰瘍をつくります。
ピロリ菌は免疫力の弱い幼児期に水、食べ物、唾液から感染するといわれています。日本においてピロリ菌に感染している人は3000から4000万人と推定されており、感染率は若年層では低いのですが、40代以上の中高年層では8割以上と高くなっています。ピロリ菌に感染した人のほとんどが慢性胃炎になりますが、潰瘍になるのは一部の人で、胃がんになるのはもっとまれです。潰瘍の原因は、かつてはストレスや胃酸過多、暴飲暴食が原因とされてきましたが、今ではそれらは促進因子に過ぎず、原因のほとんどがピロリ菌によるものとわかっています。ピロリ菌が慢性胃炎を引き起こすと胃粘膜を脆弱になるため、胃潰瘍や十二指潰瘍を起こしやすくなります。
こうした潰瘍疾患に対しピロリ菌の除菌治療を行うと再発率が極めて低くなることがわかっており、難治性の潰瘍であっても除菌治療で治った例が多くみられます。欧米ではすでに、潰瘍の再発に対して除菌治療が日常臨床で広く実施されていますし、日本でも平成12年より本格的に始まりました。当院では、採尿により抗体を調べる検査と、胃内視鏡により採取した胃の粘膜を調べる検査でピロリ菌の判定を行っており、発見された場合は抗生物質による除菌治療を行っています。 |
|