排便の時、便が出にくいとか、何か残っている感じがするのですが、何かあるのでしょうか?
直腸肛門の排出障害です。その原因には肛門疾患として内痔核、慢性裂肛や肛門狭窄あるいは深部痔瘻もあります。一方では直腸肛門機能が排便時にうまく働かない状態もあり、アニスムスや逆説的骨盤挙筋収縮と呼ばれています。また直腸がゆるんでアコーディオンのようになった直腸重積、不完全直腸脱や、直腸瘤と呼ばれる膣側への直腸の膨隆も残便感や用手介助排便の大きな原因です。また、残便感には他にいくつかの原因が考えられます。たとえば下痢状軟便では、常に直腸内に便状がある状態で、便があるという直腸反射が脳へ伝わります。また普通便でもポロポロとした兎糞状便でも同じような直腸の刺激が残ります。内痔核腫脹の大きい場合も、便は排出されていても直腸下部の圧迫感があり、残便感を訴えます。
残便感は直腸肛門疾患による場合と排便習慣と便の性状による場合があるので、症状が続くときは大腸肛門科の専門医を受診し、その原因をよく診断してもらう必要があるのです。