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Dr.辻仲の大腸肛門病教室
 
第二回 日帰り手術についての考え方
■日帰り手術の意味

古くから肛門科は、日帰り手術又は処置が中心でした。日本のみならず世界の街にも多くのベッドを持たない肛門科クリニックがあります。もちろん肛門専門のみのところもありますが、胃腸科を併記することが多く、内科、外科、泌尿器科、皮膚科や婦人科を兼ねているところも多いのです。古くから活躍されてきた肛門科専科クリニックは経験が深く、専門領域への研究も熱心で、治療に対するポリシーも明確です。実際に多くの患者さんが満足のゆく治療を受けることができます。近年「日帰り手術」をことさらに強調し、レーザーその他の医療機器を用いることで、あたかもすべて日帰り手術で治せるような誤解を与える新しいタイプの肛門科も多く見られることとなりました。マスコミなどの「日帰り手術」報道もそのことが話題にさせ、それがすべてのように見せかけています。しかし、そのようなレーザーなどのみを売り物にしたクリニックには、実は本当の経験豊かで専門医知識の深い医師がいるとは限りません。また、他の診療科から転向し、肛門科を標ぼうして、かなり無理のある不合理な治療をしてしまう医師もいると言われています。また、たとえ専門医を掲げていても時代遅れの頑迷な治療をしている医師もいるのです。これら経験と知識不足、簡便なことばかり言う医師の治療の失敗で、実は多くの患者が当院などの大腸肛門専門病院にまた再発又は不完全治療で診察に来るのです。したがって、排便時出血、肛門痛、脱出などの痔症状のある患者は医師を十分に選んで有名で定評のある専門クリニックをまず選ぶべきなのです。レーザーなど使わなくても昔から十分に多く人は治ってきたのですから。
■私達の考え

私達の病院や関連施設の「日帰り手術(処置)」の基本的考えは以下の通りです。参考にしてください。日帰り手術の真の意義は、術後24時間〜48時間には日常的軽作業が可能となる手技をさすのです。すなわち、一晩自宅安静すれば、自己管理において治療経過を任すことができる手術又は処置を言うのです。多くの患者は「日帰り」の言葉に、「仕事は休めない」をダブらせてすぐに働けると誤解しています。
■Aランク(日帰り)

肛門科においては、次の内容が真の日帰り手術となります。

【手 術】
1)すべての外痔核、外痔血栓、皮垂の切除術
2)内痔核(V度以上)の1箇所結紮切除術
 *レーザー、超音波メスが有意に有効という比較試験はありません。
3)裂肛のドレナージ形成術、用手拡張術又は皮下側方内括約筋切開術、肛門ポリープ切除術
4)単純な肛門周囲膿瘍の切開術、単純痔瘻の瘻管開放術やセトン法手術
5)肛門皮膚病変の散発的なもの
  尖圭コンジローマ切除、膿皮症、皮膚腫瘍などの切除術

Aランク例1) 外痔核
【処 置】
6)内痔核(U度)のゴム輪結紮
7)内痔核(出血性痔核)の注射硬化療法

以上の例はいずれも心・肺・腎・肝機能に異常のないことが前提であることは当然なことです。
■Bランク(準日帰り)

日帰りは可能ですが、3〜7日間は自宅療法が必ず必要です。可能であれば短期の入院が望ましいといえます。術後疼痛の他、排便時出血、排便困難、尿閉もあり得ます。無理をすると多量の出血や創感染、治癒遅延となります。
1)内痔核(V度)外痔核の混合痔核の結紮切除術(2箇所まで)
 *3箇所同時の手術は疼痛、出血、排便など管理のクリニカルパスが極めてしっかりしている病院、クリニックのみ可能
2)裂肛の肛門皮膚移動術(SSG)
 *内痔核も合併切除する例を除く
3)直腸周囲膿瘍の切開
4)痔瘻の走行がやや複雑なタイプで、括約筋保存的手術(くりぬき型)

Bランク例2) 裂肛
これらの症状も、基礎的疾患が認められないことが前提となります。

■Cランク(要入院)

1)心・肺・腎・肝などの基礎的疾患が中等度以上あり、常に投薬、通院や現在入院加療中の患者で痔疾患の手術を要する例(年齢、重症度により異なるが7〜10日)
2)V度以上全周性内痔核または内外痔核で脱肛が著しく、PPH法又は同時3箇所以上の結紮切除を要する例(入院は3〜7日、又は10日以内)
3)痔核、裂肛、痔瘻など複数同時に3箇所以上根本手術を要する例(7〜10日入院)
4)直腸骨盤窩や坐骨直腸窩の痔瘻、再発を繰り返していた痔瘻
 *これらについては肛門機能を保護、温存するため最良の手術をするために、便止め処置や食制限もあり得ます。(概ね10〜12日の入院)
5)直腸脱手術、直腸瘤手術、直腸膣瘻や肛門括約筋形成術(14日ほどの入院)

Cランク例2) 内外痔核(V度)

Cランク例4) 骨盤直腸窩痔瘻(W型)
■良き医師、良い病院にめぐり逢うために

世の中には、実に精勤で優秀な医師はいます。ほとんどの医師は患者を第1に考え、最高の医療をしようとしています。しかし、少数の医師はコマーシャルベース的に、あるいは専門外にも自信過剰になり、ともすればオーバートリートメントになることがあるでしょう。逆に、患者の訴えがあるにもかかわらず、安易の放置をして手遅れになることもあります。

良き医師、良い病院にめぐり逢うことはすばらしい幸運です。大腸肛門の病気も例外ではありません。情報公開やセカンドオピニオンに積極的で、実績や評判の良い医師や施設をであること、さらにそのことが最も患者にふさわしい方法であることを多くのオプションから選択して合意し、その後の経過に責任を持てる医師や施設であることが大切です。
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