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Dr.辻仲の大腸肛門病教室
 
第十一回 血中高CRPと大腸がんリスクについて
2006年04月19日の新聞で、血液検査のCRP値が高い人ほど大腸がんになりやすいという発表がありました。ここではその内容についてご紹介します。
■血液検査の「CRP値」高い人 大腸がんになりやすい

 細菌感染症など急性の炎症の指標で、一般的な血液検査項目にも含まれるCRP値が高い人ほど将来、大腸がんになりやすいことが、厚生労働省研究班(主任研究者=津金昌一郎・国立がんセンター予防研究部長)の調査で分かった。CRP値で4グループに分け、最も高いグループ(血液1リットルあたり0.96ミリグラム以上)は、最も低いグループ(同0.24ミリグラム未満)に比べてリスクが1.6倍になっていたという。

 90年と93年に血液の提供を受けた全国約4万人の追跡調査で、がん予防などを研究している「多目的コホート研究」の成果の一つ。追跡期間中に大腸がんになった375人の一人ひとりに対して、性別や年齢などを合わせた健康な人2人ずつを抽出し、計1125人で違いを分析した。

 大腸がんの発生には潰瘍(かいよう)性大腸炎などの炎症が関係しているとの指摘があるため、血中の特殊なたんぱく質であるCRPの値との関連を詳しく調べた。その結果、通常の血液検査では血液1リットルあたり5ミリグラム以上で炎症反応「陽性」とされるが、それよりずっと低い値で、発症リスクの差が確認できた。

 CRP値は、炎症以外にも肥満や運動不足などでも値が高くなることがある。将来、大腸がんの早期発見などへの利用可能性も考えられている。

2006年4月19日 朝日新聞夕刊より
■高感度CRP
CRPは、一般的によく行われる血液検査で、肺炎など急性の炎症やがん等があると高い値を示します。ある検査会社では、0.5mg/dl (5mg/l)を正常値とします。一方、高感度CRPでは、通常のCRP検査の正常値の範囲内(陰性)であるとされる、より低い範囲の値を測定します。その結果は、慢性の弱い炎症を反映し、血管内皮の機能障害と関連するといわれ、心筋梗塞等のリスクの予測等に利用されています。
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