ソケイヘルニアの治療法 | |
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Q1. どんな病気ですか? | |
「ヘルニア」とは、体のいろいろな部分で臓器または組織が飛び出した(脱出した)状態を指します。 おなかの臓器は腹膜という膜で覆われています。さらにその外側を筋肉が覆っています。 ソケイヘルニア(=脱腸)とは、ソケイ(鼠径)部(足の付け根)の筋肉が弱くなり、隙間が生じ、ここから腹膜と一緒におなかの内容(腸や脂肪など)が飛び出した状態になる病気です。 |
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Q2. どんな症状がでますか? | |
立った時やおなかに力を入れた時、太ももの付け根付近が“ぷっくり”と膨らんできませんか? そんな症状が見られたら、ソケイヘルニアの可能性があります。 最初はピンポン玉くらいだったものが、時間とともに大きくなり、コブシ大になることもあります。 そして手で押さえたり、寝転がってしまうと引っ込んでしまうことが多いのが特徴です。脱出時に“違和感”や“痛み”を感じる方もいます。 ただし、「嵌頓(かんとん)」といって、いままで押せば引っ込んでいたものが、引っ込まなくなり、通常激しい痛みを伴うようになる場合があります。「かんとん」になると、脱出した臓器に血液が行かなくなり、放置すると腸の組織が死んで腐ることもあるので、できるだけ早く手術することが必要になります。 自分でヘルニアを押し込んでも、おなかに腸が戻りづらいことが何度もあるようでしたら、早めに手術することをお勧めします。 |
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Q3. どんな治療をしますか? | |
手術以外に治療方法はありません。残念ながら、薬や装具では治らないのです。 ソケイヘルニアは筋肉と腹膜の間に人工のメッシュシートを置いて、隙間を手術をします。 ヘルニア自体はすぐに命にかかわる病気ではありません。日常生活に不便がなければ治療を急ぐ必要はありませんが、大きくなると手術が難しくなる可能性があること、そして「かんとん」を起こす可能性があることを考えると、余裕のあるときに早めに治療することをおすすめします。 |
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ヘルニア根本手術の術式 (従来法と人工補強材を用いる方法) | |
●従来法(筋層と筋層を引っ張り縫合する方法) ・引きつれを生じつっぱり感や痛みを感じる ・再発(断裂が再び起きる)がおきやすい これらより、人工補強材を用いて断裂している穴を塞ぐ方法が現在主流になっています。 |
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●人工補強材を用いて断裂している穴を塞ぐ方法 a) メッシュプラグ法 b) クーゲルパッチ法 c) プロリン・ヘルニア・システム(PHS)法 d) ダイレクトクーゲル法 ヘルニアのタイプに合った素材を用い、断裂した筋層の修復や補強をします。 |
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a)メッシュプラグ法 |
b) クーゲルパッチ法 |
c) プロリン・ヘルニア・システム(PHS)法 |
d) ダイレクトクーゲル法 |
当院では入院での手術をおこなっており、日帰り手術は行っておりません。日帰り手術をおこなう医療機関もありますが、この場合、麻酔は局所麻酔です。局所の症状が小さい方や痩せ型の方にはこの麻酔でも十分可能ですが、大きなヘルニアや体型が太めで皮下の脂肪層が厚い方には十分な麻酔ができないこともしばしばです。そのため、当院では入院を前提とし、腰椎麻酔のもとで手術を行なうようにしています。腰椎麻酔は下半身麻酔ともいい手術中は下半身の知覚が麻痺するため痛みは伴いません。 |
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