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4人の方の痔の体験談をそれぞれの著書から一部を引用しました。この前後にも面白いことや身につまされることなどがたくさん書かれていますよ。
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■赤瀬川原平 痔核を自覚したとき・・・ |
はじめて見るので、こんなものかと思うのだけど、自分の肛門の縁のところに、小指の先ほどのふくらみがぷつんとある。黒っぽいというか、グレーというか、グレーはグレーでも、グレー光りのしたふくらみである。何だかそこにくっついたエイリアンみたいで、変な物が付いてるぞ、と思った。(略)とにかくそのようにして、ぼくは避けては通れないものとしての痔核を、自覚したのだった。
(前衛美術家、作家 「困った人体」から引用)
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■浅田次郎 和式から洋式トイレへの改宗・・・ |
痔は痛い。発作中、便法により一気呵成に脱糞するときなど、「エイヤッ!」でなく、「キエェ〜〜イ!」というような悲鳴を上げるほどである。しかるのち、ペーパーで拭うときの痛さと言ったら、今このとき地球が破滅すれば良いと思うほどである。(略)四十五年間も信じ続けてきた宗旨を今さら改めることは、もとより本意ではない。痔のせいにするのは卑怯であると思う。(略)私は耐えがたきを耐え、忍び難きを忍んで、踏絵を踏む。(略)世界の一部が、明らかに変わった。
(小説家 「勇気凛凛ルリの色」から引用)
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■倉本聰 ヘモ※(痔)のデビルが・・・ |
初めてこのヘモが発症したのは、多分物を書くようになって座業が続いたせいだと思う。この痛みはまた格別なものがある。激しくなるとまともに座れない。斜めに座って物を書いている。僕の字がどうも一方へ傾くのは、このヘモ時代の名残である気がする。大きなトイレをした後など最悪。ヘモのデビルが尻の奥から断面菱形のとがった錐を持ち、ニタリニタリと笑いながら排泄孔を突ついてくる感じ。
※ヘモは、英語のヘモロイドの略で、痔のこと。病院用語である。(本コラム作成者注)
(脚本家、演出家 「北の動物園」から引用)
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■さくらももこ ジャズからベートーベンの“運命”に・・・
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そもそも、こんなものぢではないかもしれないのだ。ウンコをした後、ちょっとだけ尻の穴の周辺がジンジンするだけではないか。そう思うと、なんだかジンジンしている感じも悪くない。肛門でジャズの特別演奏でもやってくれてる気がする。ジンジンに合わせて「ヘイヘイヘイ」と音頭をとるほど陽気な気分になってきた。
ところが、ある日の大便の後、肛門の特別演奏はジャズからベートーベンの“運命”に変わった。ジンジンからジャジャジャジャーンになってしまったのである。
私はトイレから出た後、しばらくカエルのように飛び跳ねていた。もう居ても立ってもいられない。風林火山大爆発である。
(漫画家、エッセイスト 「さるのこしかけ」から引用)
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