痔の散歩道 痔という文化

著者]谷崎潤一郎 (1886−1965)

東京・日本橋生れ。東大国文科中退。在学中より創作を始め、同人雑誌「新思潮」(第二次)を創刊。同誌に発表した「刺青」などの作品が高く評価され作家に。当初は西欧的なスタイルを好んだが、関東大震災を機に関西に移り住んだこともあって、次第に純日本的なものへの指向を強め、伝統的な日本語による美しい文体を確立するに至る。’49(昭和24)年、文化勲章受章。主な作品に「痴人の愛」「春琴抄」「卍」「細雪」など

新潮文庫「(かぎ)瘋癲老人日記(ふうてんろうじんにつき)谷崎潤一郎(たにざきじゆんいちろう)著 平成十四年八月十五日 第四十五刷 のカバーから引用


■瘋癲老人日記

「痔(肛門周囲炎)」と書かれている箇所を抜粋します。

(略)

予ハ元来健康ナ体質デアッタ。少年時カラ六十三四ニ達スルマデハ、
肛門(こうもん)周囲炎ノ手術デ一週間程入院シタ以外、病気ラシイ病気ハシタコトガナカッタ。六十三十四歳ノ時高血圧症ノ警告ヲ受ケ、六十七八歳ノ時軽微ナ脳溢血(のういっけつ)デ一カ月程度寝タガ、肉体的苦痛ト云ウモノハ知ラナカッタ。

(略)


同上 新潮文庫「鍵・瘋癲老人日記」から引用


原文表記と異なる箇所があります。


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