二葉亭四迷 明治文学の黎明を告げる名作「浮雲」を執筆しながらも人生への懐疑より一時筆を断ち、晩年はロシヤに渡って、病に倒れ、帰途ベンガル湾洋上にて、四十五歳で客死。終生、人間いかに生くべきかを自問し、明治の激動期を生き急いだ先覚者(略)
講談社文芸文庫「平凡・私は懐疑派だ 小説・翻訳・評論集成」二葉亭四迷 一九九七年一二月一〇日第一刷発行 のカバーより引用
■小説総論
(略)
小説に勧懲模写の二あれど、云々の故に模写こそ小説の真面目なれ。さるを今の作者の無智文盲とて古人の出放題に誤られ、痔持の療治をするように矢鱈無性に勧懲々々というは何事ぞと、近頃二三の学者先生切歯をしてもどかしがられたるは御尤千万とおぼゆ。
(略)
同上「平凡・私は懐疑派だ 小説・翻訳・評論集成」から引用
原文表記と異なる部分があります。
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