[著者]折口信夫(おりくち しのぶ)
1887(明治20)年大阪生まれ。1910年国学院大学卒業。国学院大学教授、慶応大学教授等を歴任。国文学者として、歌人(筆名釈迢空)として高い業績をあげた。1953(昭和28)年歿。主著に、『古代研究』『死者の書』『古代感愛集』など。『折口信夫全集』(全31巻)がある。
講談社学術文庫「日本藝能史六講」 折口信夫著 2011年4月20日第19刷発行 奥付から引用
■八月十五日
昭和二十八年八月遺稿。十一月『三田文學』第四十三巻第九號
につぽんのくに たゝかひまけて
ほろびむとす
すめらみこと、そらにむかひて、のりたまふ
ことのかなしさ。
やまに入りて、おのづからいたる果ての
日を見むとせしは、われのみなりや。
八月十五日 朝早く出でゝ、ゐしやのいへに
ゆく。いのちのある間のしばしを、痔の
ためにくるしむことなからむとするなり。
いつかまた、あひみむ日をしらねば、ねんごろ
にわかれのことば つげて出づ。
やがて、國學院にゆく。
このまゝ、學校の門をも見ずて、しぬる
日の來むことあるべきをおもひて、
心ばかりのなごり をしまむとて
なり
中公文庫「折口信夫全集 第廿二巻」 編纂 折口博士記念古代研究所 昭和五十年十月十日発行
から引用
一部原文表記と異なる箇所があります。
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