療痔病経云
佛告阿難陀汝可諦聴此療痔病経讀誦受持繁心勿(■1)於他人廣為宣(■2)此諸痔病悉得除弥所謂風痔熱痔陰痔三合痔血痔腹中痔鼻内痔歯痔舌痔眼痔耳痔手足痔背脊痔糞門痔遍身支節(■3)生諸痔如是痔病受悉皆乾(■4)堕落銷滅必(■5)無(■6)如是神咒即(■2)
槇佐知子著「医心方 巻七 性病・諸痔・寄生虫篇」 筑摩書房 より引用。
原文と漢字表記が異なるところがあります。
<■は漢字ですが、表記できなかったものです。以下は字の説明です。>
■1:「E」の下に「心」を書きます。
■2:「言」の右に「~」を書きます。
■3:「日」の右に「竹」の右側の部分を書きます。
■4:「火」の右に「参」の上の部分と「忝」の下の部分を書きます。
■5:「差」の上の部分に「ヒ」を書きます。
■6:偏は「止」の下に「天」を書き、つくりは「ユ」の下に「又」を書きます。
■通釈
『療痔病経』(※1)にいうには、
仏陀が、弟子の阿難陀(あーなんだ)(※2)に告げていわれた。「汝よ、よくよく聴きなさい。この『痔を治療する経』を読誦して身につけ、心に刻んで忘れてはならない。他の人々に広く説き伝えなさい。これはもろもろの痔病すべてを除くことができる。
いわゆる風痔(※3)、熱痔(※4)、陰痔(※5)、三合痔(※6)、血痔(※7)、腹中の痔(※8)、鼻の中の痔(※9)、歯の痔(※10)、舌痔(※11)、眼痔(※12)、耳の痔(※13)、手足(しゅそく)痔(※14)、背脊(はいせき)痔(※15)、糞門痔(※16)、全身や手足の関節の関するさまざまな痔(※17)、このような痔病を癒すものである。みな悉く乾燥してはがれ落ち、消滅し、必ずい(■1)える。疑ってはならない。このような神呪を受け、すぐにこれを説きなさい」と。
<■は漢字ですが、表記できなかったものです。以下は字の説明です。>
■1:やまいだれに「差」を書きます。
■語釈
※1 『療痔病経』 法顕が漢語訳した医書。
※2 阿難に同じ。釈迦の十大弟子の一人で釈迦の従兄弟に当る人物。『聖六字増寿大明陀羅尼経』宋西天三蔵大師施護奉詔訳に、阿難には大疾病痔瘻があったこと、釈迦が彼の許を訪れ、次の呪を伝えたことを記す。
※3〜17 3から17までの痔のうち、16の糞門痔だけが現代の痔と共通する。その他の痔病が何をさすかは不明。
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